「仕事が思うように進まない」
ビジネスマンであれば,誰もが色んな意味で感じることが多いと思います。
- 競合他社に勝てない
- プロジェクトが進まない
- 忙しくて時間がない
- コミュニケーションがうまくいかない
- 仕事が楽しくない
仕事の悩みはなかなか尽きませんよね。
そんな悩みを解決する糸口になるべく,「その仕事,全部やめてみよう」という書籍を紹介します。
本書を読んで一番感銘を受けたのは,あとがきに書かれていた言葉です。
「一番やめるべきは,没頭できない仕事」
「楽しさややりがいこそが仕事の原動力になる」
そんな個人レベルだけれども根が深い内容も含めて,あらゆる無駄をなくすことをテーマとして書かれています。
私が重要だと思うポイントをピックアップして紹介します。
本書には,具体的なエピソードも交えた話が書かれておりますので,本記事で興味が湧いた方は,一度手に取ってみることをおすすめします。
「その仕事,全部やめてみよう」
著者は,ITベンチャー企業の経験と老舗金融企業の経験を持つ,小野和俊先生です。
ベンチャー企業と大企業の良し悪しをよくご存じです。
プログラマーとして経験していたこともあり,仕事の生産性や効率化を徹底されています。
しかし,ただ効率化を目指すだけではなく,「仕事の本質」を重視されています。
- 良いものを作り上げて世の中に届ける
- 生き生きと仕事をして幸せを感じる
個人,会社,社会が幸せになるべく,仕事の無駄をなくす「仕事の本質」に迫った書籍です。
仕事の無駄をなくす
(1)「谷」を埋めるのは無駄
本書では,「谷」を埋めるのではなく「山」をつくれと書かれています。
ここでいう「谷」は「短所」,「山」は「長所」だと思ってください。
つまり,「短所」を補うのではなく「長所」を伸ばせということです。
仕事で製品を作る上で,皆さんも「谷」を埋めることの方が多いのではないでしょうか。
「谷」を埋めてしまいがちな理由は,以下のことが挙げられます。
- 突飛なアイデアは社内で話が通しにくい
- 世の中にないものを作るよりも,他社製品と比較して足りないものを補う方が簡単
これは「自分都合」であると書かれており,「お客様は本当に満足しますか?」と問われています。
「谷」を埋めたところで,「悪い」が「普通」になるだけで,「良い」にはなってないんですよね。
そこで「山」をつくれと書かれています。
では,どうすればいいのか。
- まだ世の中にないものを作る
- 他業界,他分野で成功している事例を参考にする
ただ,「世の中にないものを作る」って難しいですよね。
本書では具体的な方法が深くまで書かれていないのですが,私が別のページで紹介している書籍「コンセプトのつくりかた」に新しい商品を生み出す方法が書かれています。
そちらも良ければ参考にしてください。
また,「山」をつくれというのは,会社レベルだけではなく,個人レベルでも有効と書かれています。
それが「ラストマン戦略」です。
「あの人に聞いても分からないなら,他の人に聞いても分からないよね」という「最後の砦」のような存在になる戦略です。
この戦略によって頼られる存在になり,自分に自信がつきます。
自分に価値があることが分かった方が働き甲斐がありますよね。
具体的にどうすればいいのかというと,見せ場を作ることです。
初めはどんな小さなことでもいいんです。
例えば
- メールのレスが早い
- 会議で最初に発言する
ちょっとずつ信頼を得ることで,自分の価値を上げることができます。
「これなら勝てる」という「山」をつくって,さらに大きな「山」にしていきましょう。
(2)「悪いアイデア」は無駄
本書では「ハンマーと釘の危険性」と表されていますが,ゲームで「新しい武器」を手に入れると試しに使いたくなりませんか。
ビジネスでは「新しい技術をとりあえず試しに使ってみる」というのはダメだと書かれています。
なぜなら「新技術=役に立つ」とは限らないからです。
新技術をリリースする場合は,以下のことを考えなければなりません。
- その技術がどの問題を解決するのかを考える
- 他にやり方がないかを考える
- 新技術を自分で実際に使ってみる
上記3つを考えた上で,「これは人の役に立つ」という結論に至ればOKです。
いつでも「人の役に立つもの」こそが「良いアイデア」なんです。
トレンドや権威者の思いつき,プレッシャー等から無理やり絞りだしたアイデアは「悪いアイデア」になりかねないということを意識しましょう。
仕事を効率化する方法
(1)DCAPサイクルを回す
PDCAサイクルはビジネスの基本として,研修等でも教えられると思います。
<参考>PDCAサイクル
P(Plan):計画 ⇒ D(Do):実行 ⇒ C(Check):評価 ⇒ A(Action):改善 ⇒ P・・・
このサイクルを回すことでより良い仕事を生み出せるという考え方です。
しかし,本書では「PDCA」ではなく,「DCAP」が紹介されています。
なぜなら,未経験のものは知識ではなく,体験から学ぶことの方が圧倒的に多いからです。
皆さんも子供の頃のことを思い出してみてください。
例えば
- 自転車に乗れるようになったこと
- 逆上がりができるようになったこと
- キャッチボールができるようになったこと
理論よりも,やっていたらいつの間にかできていませんでしたか。
このDCAPは「未知の領域」と「変化していく領域」の時に推奨されています。
逆に,以下の場合には不向きです。
- 小さなミスが命取りになる領域
- 関係者が多く,情報共有こそが肝である領域
- 要件が途中で変わったら大きなコスト損失になる領域
上記の場合は,PDCAで計画をしっかり練ってからの方が良いので,注意しましょう。
(2)To Stopリストを作る
「To Doリスト」はよく作られると思いますが,本書では「To Stopリスト」を作ることが推奨されています。
では,どんな時に作るのか。
- 何か新しいことを始めるとき
- 忙しすぎて業務が回らないとき
- 非効率な仕事が増えてきたとき
やらなければいけない仕事を積み上げているだけでは,時間がいくらあっても足りないですよね。
なので,やめることを決めるのも大事です。
ちなみに,本書で挙げられているやめるべきことの例は以下です。
- 定例会議
- 引き継がれた業務
- 手作業のデータ集計,資料作成
- 利用者の少ない社内向けシステムやサービス
- 再発防止策を重ねたせいで慎重になりすぎている仕事
「その仕事は本当に必要な仕事ですか」と自分に問い,無駄なことを省きましょう。
(3)相手を徹底的に理解する
会社に属している以上,チームで働くことが多いと思います。
コミュニケーションを円滑にすることで効率よくプロジェクトを進めたいですよね。
ところが,組織には色んなキャラクターの人がいると思います。
特に,言い方が悪いかもしれませんが,優秀な人ほど異端なことも少なくないと思います。
そうなると,チーム内で浮いた存在になって疎まれることになりかねません。
せっかく優秀な人材がいるのに勿体ないですよね。
その場合は,短所ではなく長所に目を向けることです。
ここでも「谷」ではなく「山」を意識するんですね。
また,中には「キレる人」がいると思います。
キレる理由は,高みを目指すための情熱があるからです。
なので,「キレる人」の意見を聞くことも非常に有効であると書かれています。
単にキレやすい人かを判断するには,その人の目標や理想の状態を聞くことです。
情熱を持った人なら目を輝かせて語ってくれるはずです。
円滑な人間関係を築くのに大事なのは,相手を理解して寄り添うことです。
先ずは相手を受け入れて,理解することを徹底しましょう。
まとめ
重要なのは「誰が幸せになるのか」を考えて仕事をすることです。
誰も幸せにならない仕事は無駄なんです。
本質的な無駄をなくすことが本書のテーマとなっています。
今回紹介した内容は,ほんの一部に過ぎません。
冒頭にも述べましたが,本書には具体的なエピソードも交えて書かれていますので,興味を持った方は,一度手に取ってみることをおすすめします。
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